INTRODUCTION
サーフィンの聖地ハワイ・ノースショア。
奇跡の7マイルと呼ばれるそのエリアには、世界屈指の波が無数に存在する。中でも別格なのが、パイプライン。世界で最も危険で美しい、波の女王だ。その波に世界で唯一自分の名前を刻んだ日本人サーファー、脇田貴之。
ハワイアンにとって海は生活のすべてであり、神聖な場所。脇田はそんなハワイアンたちを尊重し、彼らも手を出さない巨大で危険な波だけが来る場所で波を待つようになった。いつしか人はその場所を「WAKITA PEAK(ワキタピーク)」と呼ぶようになったのだった。
これまでのサーフィン映画とは違うリアルな物語
この映画は世界で最もコアなサーフィンの世界を舞台にしているが、いわゆるサーフィンのジャンル映画ではない。描かれるのは、たった一つのことに人生を捧げる男の生き方だ。
家族を抱え、思春期の子どもたちに全力でぶつかり、将来への不安も抱えながら、それでもなお自分の道を突き進み、時には敗北し、後戻りすることさえ出来ない現実を描く。それは、将来への不安から諦めてしまった誰かの夢の先にあったかもしれない現実でもある。
そして、物質的豊かさには恵まれながらも、日々に追われながら漠然と生きる現代社会の中で、ただ、「今」という瞬間を精一杯生きる脇田を通して、愚直なまでに純粋に生きることの“狂気と美しさ”を描く。
サーフィンは娯楽やスポーツでもあるが、内省的な一面を持ち、ある者たちにとっては宗教であり哲学だ。だからこそ時に人を破滅にも導くが、命を豊かにもする。この映画はサーフィンのそういった一面にも深く切り込んでいる。
COMMENT
MANA 野元学(写真家・映像作家)
波、ハワイ、人、すべてのものに常に敬意と感謝を忘れない。地道に、そして情熱的にパイプラインの波と生きる、脇田貴之の生き様が描かれた必見の映画だ。
間屋口香(プロサーファー)
サーファーであっても無くても、私たちは彼という人物がいることを知らなければいけない。現在進行形でヒストリーを作り続けている彼の生き様をこの映像から見てほしい。こんなにも己を力強く信じて進む魅力的な人間を私は見たことがないかもしれない。
戸井田雄一(Blue.編集長)
めちゃくちゃかっこいいのに、めちゃくちゃかっこわるい。世界がWAKITAをリスペクトし、家族は脇田にあきれてる。歯がゆいほど純粋で熱血。何度でも立ち上がる。いつの間にか、そんな男を応援していた。愛されてやまないヒーローって、そういえば昔っからこんな感じだったな。
大野修聖(プロサーファー)
自分に嘘をつくことなく、純粋に情熱的に突っ走る事の大切さを、改めて思いださせてくれる、最高の生きるインスピレーションを頂きました。
CAST&STAFF
脇田貴之 Takayuki Wakita
1971年12月12日生まれ。神奈川県藤沢市出身のプロサーファー。世界で最も美しく危険な波、パイプラインに自分の名前を刻んだ唯一の男。また、二児の父であり、プロサーファーの息子と娘、そして妻を含め一家全員サーファー。ハイシーズンである冬になるとハワイに拠点を移し、パイプラインに全身全霊をかける生活は、現在に至るまで27年にも及ぶ。
SURFER
脇田泰地 Taichi Wakita
1998年9月20日生まれ。日本とハワイを行き来し、コンペティターとしても、父親譲りのビッグウェーバーとしても活躍中のヤングガン。今シーズンは、WAVE OF THE WINTERにもノミネートされ、プロサーファーとして年々飛躍的な成長を遂げている。
2016年JPSA Rookie of the Year(新人賞)
SURFER
脇田紗良 Sara Wakita
2002年10月10日生まれ。父、貴之をはじめ、数々の大会で入賞する母、小百合や兄、泰地と幼少の頃からサーフィンに親しむ。2009年ハレイワ・メネフネ・チャンピオンシップにて優勝後、2016年にはハワイ州のチャンピオンシップでも優勝。世界プロサーフィン連盟(WSL)主催の国内外の大会で3位に入賞する等幅広く活躍中。
2017年JPSA Rookie of the Year(新人賞)
SURFER
脇田小百合 Sayuri Wakita
母として、妻として脇田ファミリーを力強く支えるが、実は家族一番のハードコアサーファーでもある。
SURFER
清野正孝 Masataka Kiyono
1980年生まれ。湘南在住の映像作家。米国、Los Angeles City Collegeで映画制作を学ぶ傍ら、サーフィンに魅せられる。帰国後、テレビドラマ制作会社の助監督を経て、フリーランスの映像作家となる。サーフィンの旅をテーマにしたアートフィルム作品ではブラジルのフィルムフェスで作品賞を受賞。本作『WAKITA PEAK』は初の長編作品となる。
DIRECTOR
「雨」by Side Slide
KEISONとKAZZによるユニットSide Slide。
KEISON:静岡県出身。波と自由を愛するシンガーソングライター。深みのある独特な歌声で、目の前を通り過ぎる景色を歌う世界観は唯一無二。海外での活動も多く、台湾やヨーロッパツアーも行っている。
KAZZ:北海道出身。ギター1本によるインストゥルメンタルをメインに、歌、太鼓、民族楽器など、様々な楽器で音を奏でるミュージシャン。20代をアメリカ、フランス、西アフリカで過ごす。現在は葉山を拠点にアジアやヨーロッパなど、国内外で活躍。
本編の主題歌であるSide Slideの楽曲『雨』は、普段は歌詞を使わないKAZZの作詞作曲で、Keisonの歌声に乗って深みのある曲になっている。
THEME SONG